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中国進出企業(特に製造業)の経営が大きな変革を迫られている。
2007年2月、本レポートNo.49で外資企業に対する企業所得税の優遇税制がなくなる可能性が高いことをお伝えしたが、すぐその後の3月16日に優遇策の停止が発表され同日付で新規進出企業に対する優遇税制は打ち切られた。
余談ながら当時、早い者勝ちの中国なので今すぐに会社を設立すれば今年一杯は何とか優遇税を享受できるのではとレポートでお勧めしていたが中国政府の方がはるかに対応が速かった。
さらに4月5日「加工貿易禁止類目録」を公布し28日から施行された。中国における“加工貿易”とは税関から加工手帳を発行してもらい関税、増値税(17%日本の消費税に相当)を払わないで保税で輸入した原材料を製品に加工して輸出する貿易形態。すなわち政府の思惑に適応しない商品に対して保税加工の便宜を廃止し一般輸入と同じように輸入時に関税や増値税の支払わねばならずコストが上がる。
6月19日には「輸出税額還付率引き下げに関する通知」が公布され、7月1日から実施に移された。今回の通知は輸出品目の実に37%、2831品目に及ぶ大規模なもので中でも資源、エネルギー関連の553品目(セメント、肥料、皮革など)は還付自体が取り消された。
いずれの国においても支払われた消費税(増値税)は商品が海外に輸出される場合、全額還付されるというのが世界の共通認識。しかしながら中国政府は増値税の還付割合を下げる(その分増税)ことで企業の輸出競争力を弱め、ひいては国家の産業構造転換に活用することを意図していると思われる。
中国の増値税は日本の消費税5%とは異なり17%と高いので輸出企業の採算に与えるその影響は大きい。鉄鋼製品を加工している友人の会社は11%の還付予定が5%となったので大変と、また同じく化学品を製造輸出している友人の会社は13%が5%に引き下げられ既契約分は増値税の不還付分8%は丸損と泣いている。
6月末にかけて上海港が駆け込みの輸出貨物で埋もれてしまった。
幸い当社が生産しているアルミダイカスト製品は今回の対象にはいっていなかったのでホット一息ついているが今後とも毎年還付率の引き下げがあると予想される。 輸出契約書には“政府の還付率の変更があれば契約単価を調整する”という条項を書き加えておくことを忘れないように。
これらの一連の動きは輸出超過により膨れ上がる外貨準備とエネルギー問題、公害や汚染基地としての世界からの批判に対する中国政府の対応の一環であるだけに進出企業にとっては今後益々逆風が強まると予測される。
加えて、ここ1-2年一般労働者の採用が難しくなりつつあり賃金の上昇、6月29日に可決された「労働契約法」による労働者権益の拡大、輸出採算に大きく影響する人民元のUS$に対する上昇などを勘案すると中国での物づくりは中国ならではの妙味も薄れ逆に苦労が多い会社経営を余儀なくされよう。 言い換えると、既に中国には数多くの外資が進出しているが、輸出をベースとしている企業は生き残りをかけた淘汰の時代に入ったなと感じている。
ましてやこれからの新規の中国進出はよほどの成算がないとお勧めできない。
中国で安い労働力、安い製造コスト、安い人民元を活用して大もうけの時代は終わった。
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