多氣 史隆

 

中国ビジネス指南第四集

似ているから間違う中国ビジネスの側面

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2008年1月第四集スタート

 

中国の工場長と日本の工場長


Vol.58

バックナンバー

58.「中国の工場長と日本の工場長」

57.「難しくなった上海での工場建設>

56.「中国で物を買う時の心構え「貨比三家

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筆者プロフィール

講師プロフィール

 

 日系企業が中国に工場進出した時、総経理と工場長はどうしても日本人というのはよくあるケース。この場合、日本人工場長は技術関係者と相場が決まっている。
 当社も創業にあたり、当然のようにベテランの日本人技術者を工場長に据えスタートした。
 従業員は35名、小さな工場なのでほぼ全員の顔を見ながら仕事ができた。それが半年もすると100名を超え夜間操業が始まった。そのうちに夜勤中に「仕事をしないでトランプで遊んでいる」、「寝ている」とか、ひどいのになると「宴会を開いて酔っ払って喧嘩した」などの噂が伝わってきた。しかし現場を押えていないので罰金には至らず仕事も決められた手順でやってないのか夜勤からは不良品の山。 
 一方、日本人工場長はというと朝8時に出勤し5時には通勤車に乗り遅れないように急いで退勤する。見ていると彼の仕事は専門分野の技術指導、それも通訳を通して。要するに工場長とは名ばかりで実際は技術顧問の役割しか果たしていない。
 そこで、今流行のカメラを工場内に何台か設置して監視してはどうかとか、時々夜勤の見回りをして就業規則違反者を取り締まってはどうか等の考えは出たがそれを“誰がやるか”。それは工場長の仕事ということになり行き詰る。
 一方、中国人人事部長は「工場内の管理は工場長の権限と責任。人事部は工場長の指示に沿って従業員の採用・解雇・処遇などの対処に当たるもの」と工場内の管理は宙にういたまま。これではいろんな問題が発生するのは当たり前。1年間経過を見たが相変わらず工場内のトラブルは続き生産性は一向に改善しない。 
 そこで、苦肉の策として中国人人事部長に工場長を兼務(この場合、勿論給料は相当アップ)してもらい、日本人工場長には給料はそのままにするので技術顧問でやってもらいたいと工場長職を下りてもらった。
 この異動がその後の効率のよい工場運営の成功の基礎となった。中国人工場長は就任早々に日本式生産管理(数値目標による全体管理)から個人標準生産数量管理(ノルマ制)に切り替え、自らが夜勤見回りを始めた。 この結果、早くも1ヵ月後には生産性は約20%アップし不良率は激減した。要するに全ての作業をストップウオッチで計り1時間当たりの生産数量(標準数量)を決定し、その数量より多いとそれに応じて賃金の割り増し、逆に少ないと減額、三ヶ月連続で下位5%に留まると解雇するというもの。
 その後、数量の達成率が高くなってくると標準数量のハードルを少しづつ上げてきたので今では各自の作業スピードは職人技の域に達しおり、時々の外部からの見学者を驚かしている。
 中国における工場長の最大の職務は工場の運営管理、言い換えると現場の最適生産のための労働者管理であり、これができるなら技術畑出身の必要が無く生産は製造部長や技術部長にまかせればよい。一方、日本企業の工場長は工場の中を回って現場であれこれ技術的指導ができることが要件とされ、労務については独立した専門職(労務課)が担当するケースが多い。中国と日本では一般労働者の教育“資質”が根本的に異なる。この違いを認識せずに同じ頭で中国の工場長をやろうとすると“中国は難しい”ということになる。 “中国では中国流に”と柔軟な思考が肝要。


 なお、それでも本社が日本人工場長と言うのなら労働者を掌握できる“中国人副工場長”(裏の工場長)を置けばよい。この場合、日本人“工場長”とは名ばかりで単なる技術顧問にすぎないのだが体外的面子は保てる。  
                                      (2008.6.5)


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